【試し読み】銀の河を漂い彷徨う4(第二章全文)

締切と約束


 私は「決まった締切に向けて執筆する」というのはまずできない。

 気の向くまま細々と書き連ね、参加予定のイベントに間に合いそうならスパートをかける。いつもそんな感じなので、新作は滅多に公開されない(それに対して焦りを覚えることもあまりない)。

 では、一体何をモチベーションにして創作しているのだろうか。

 一番は「自分が読みたい」、これに尽きる(こっそり語り参照)。

 その他にやる気を出す理由があるとすれば、それは「読んでもらう約束」である。


 これは高校生の頃(つまり創作最初期)の話なのだが、創作仲間の友人と会う度、互いに進捗報告を兼ねて作品の読み合いをするという習慣があった。

 当然だが、在学中はほぼ毎日会うので、可能な限り毎日更新した。卒業後も、機会があれば互いに読んでもらいたいので、遊ぶ約束をした時には手書きノート持参必須だった。滞りがちだった物語も、約束をした途端、急に動き出すというのもしょっちゅうだった。

 社会人になって互いに忙しく、会う機会が激減した。今では辛うじて、年賀状のやりとりをするくらいである。

 言うまでもなく、当時書き進めていた長編(になる筈だった何か)は数年放置状態である。一応結末などは決まっているので、書く気さえあれば、クオリティはさておき、完結させることは可能だと思う…のだが。うん、あんまり掘り下げんとこう。


 そんなことをたまに思い出すので、隙あらばゴリ押すように「よかったら読んで!」と言いたくなる。要は、約束という名の締切を、無理やり設定しようとするのである。

 実際、読みたいから読むよ~と言ってくれる友人に、「じゃあいついつくらいなら新刊出せそうだから、できたら送るね!」と、約束した次の日からまぁ、書ける書ける。いつもそのやる気を出しとけよ! とも思うが、人には向き不向きというものがありましてですね…

 そして、次のイベントまで1ヶ月を切ろうかという頃、別の友人から「そのイベント、一般参加するよ!」と連絡があり、これは新刊ないと格好つかんやろ、と張り切ってスパートをかけ始めた次第。現金だな。

 ちなみにこの「イベント」とは、これを新刊として出す予定のそれである。

 んー、出せるかなー(現時点でまだ本文は完成していない)。


 当然の話だが、即売会というのは、厳密には「読んでもらう約束」にはなり得ない。

 「読んでもらえるかもしれない」、その機会を得る場なのである。

 だから、というと、まぁ手前勝手な持論になるのだが、確実な約束ではないので、それに間に合わせようという気概が足りないのである。こんなこと言って大丈夫か?

 適度におしりを叩いてくれるオトモダチ、増やした方がいいかな…

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