【連載】(タイトル未定)#2-9

※こちらは、超絶遅筆な管理人が、せめてイベントに参加する毎には更新しようという、

雨垂れ石を穿つ精神で投稿する長編(になる予定の)連載ページです。

状況により、過去投稿分も随時加筆修正予定。

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 山の中腹辺り、少し平坦になっている所で、フレイは足を止めた。

 急げば、日暮れまでに山頂に辿り着くことはできるだろう。が、魔物が潜んでいるかもしれない洞窟の近くで、さすがに野宿はできない。

 ルークとラファが集めてきた小枝に、フレイが火をつける。続けて、指先で円を描くような仕草をすると、ラファが顔を上げた。

「フレイさん?」

「結界を張った。背後から不意打ち食らうなんてヘマはしねぇから、そう緊張するな」

 ラファは複雑な気持ちで頷いた。フレイの心遣いはありがたいが、自分に力がないことを突き付けられているような気もした。

 大きく伸びをしたルークが、ラファの隣に腰を下ろす。

「はー、周りを警戒しながら歩くって、大変だね。ラファ、大丈夫? 疲れてない?」

「は、はい。お二人と一緒で良かったです、心強いです」

 嘘ではない。嘘ではないのに、自分の言葉に傷ついた。

 こんなことも一人でできないのか。誰に言われたわけでもないのに、誰かが耳元で囁く。

「……ごめんなさい」

「え、なに、どうしたの?」

「私、ついていくだけで精一杯で。風を飛ばして周りの様子を伺うくらい、すればよかったのに」

「一日中そんなことして、体力が保つか。必要ないことはするんじゃねぇ」

 フレイに一蹴されて、余計に気が重くなる。先頭を歩いていたフレイが、どれだけ気を張っていたか知っている。それを助けることもせず、今もこうして守られているだけだ。

「……フレイさんは、どうしてそんなに強いんですか」

「は?」

 フレイが熾した焚き火を見つめて、ラファは膝を抱え込んだ。

 加護持ちであることを隠さない。力をひけらかすことはしないが、必要があれば惜しげも無く使う。それを自然に行えるだけ、フレイは魔力を使いこなしている。

 ――自分とは違う。

「言っとくが、俺とおまえじゃ、加護持ちとしての年季が違う。比べて勝手に落ち込むな」

「落ち込んで、なんか」

「加護持ちであることを悲観するのと、力が弱いことを嘆くのは、矛盾じゃねぇのか」

 見透かされた。かっと頬が熱くなる。

「私だって、好きで加護持ちなんかに生まれた訳じゃない!」

 思わず立ち上がり大声を出したラファに、フレイは静かな声で応えた。

「そうかよ。だが、生まれ持ってきたもんは仕方ねぇだろう。誰のせいでもねぇし、誰のせいにもできねぇ。だったら、その力を何のためにどう使うかも、自分で決めていいってことだ。力を活かすか殺すかは、おまえ次第だ。違うか?」

 わかっている。頭ではわかっているのに、素直にそう考えられない自分が情けなくて、悔しかった。咄嗟に背を向け、走り出す。

「あっ、ラファ!」

「心配するな、近くに危険な気配はねぇよ。しばらく放っとけ」

 夕闇に消えた背に向けられた声は、どこか少し、沈んで聞こえた。

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