【連載】(タイトル未定)#2-12
※こちらは、超絶遅筆な管理人が、せめてイベントに参加する毎には更新しようという、
雨垂れ石を穿つ精神で投稿する長編(になる予定の)連載ページです。
状況により、過去投稿分も随時加筆修正予定。
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ラファが戻った時、焚き火の側にはルークしかいなかった。フレイには申し訳ないと思いながら、少しほっとして息をつく。
「お帰り。魔物に遭ったりしなかった?」
まるで散歩から帰ってきたのを迎えるようなルークの言葉に、安堵と罪悪感が入り交じる。「た、ただいま。フレイさんは?」
「その辺見て回ってくるって。先に休んでていいってさ」
ラファは小さく頷いて、ルークの向かいに腰を下ろす。おそらく、ラファが戻ってきやすいようにという配慮だろう。気を遣わせてしまった。
「……フレイのこと、怖い?」
ルークの問いに、どう答えていいかわからなかった。
圧倒的な力の差を、怖いと思う。自分が見て見ぬ振りをしてきたことを、容赦なく突き付けられるのも怖い。けれど。
「私のこと、ちゃんと見てくれてるんだな、って。怖いっていうより、慣れてなくてびっくりしてる、かな」
正面から向き合ってくれている。それが新鮮で、少し煩わしくて、嬉しい。
「あんな見た目と口調だけど、優しい人だよ。怒るとちょっと怖いけど」
ルークも、叱られたことがあるのだろうか。互いに目を合わせて、ふふっと笑う。
陽が落ちても、フレイは戻ってこなかった。
これはもしかしたら、自分が起きているうちは戻ってこないつもりかもしれない。
そう考えて、ラファはさっさと横になった。一日中気を張っていたので、睡魔はあっという間に襲ってきた。
炎の爆ぜる音に、ふと目が覚める。頭上を見上げても、山の木々に遮られて、空は見えない。仰向けのまま、ラファはしばらく風の音を聞いていた。
再び、炎が爆ぜる。音のした方に首を傾けると、小さくなった焚き火の側にフレイが座っていた。片膝を立て、目は閉じている。眠っているのかとも思ったが、この状況でそれはないと考え直す。
折角目が覚めたのだから、火の番を代わるべきだろうか。だが、どう声をかけていいのかわからない。
迷っている気配が伝わったのだろう。不意にフレイがこちらを向いた。
「交代なんかいらねぇから、寝てろ。明日も同じだけ山道登るんだぞ」
「は、はい」
足手まといになるなと釘を刺されたようで、慌てて目を閉じる。が、瞼の裏に、炎の色が焼き付いてしまったように離れない。
なにか、言わないといけない気がする。そのなにか、が形になる前に、ラファはつい呼びかけていた。
「フレイさん、あの、私――」
「別に怒ってねぇし、気も遣ってねぇよ。そう構えるな」
なにもかも見透かされているようで、不思議と安堵した。
この人の前では、遠慮も虚勢もいらない。必要以上に自分を大きく見せることも、今は足りない力を嘆くことも、しなくていいのだ。少しだけ、自由になれた気がした。
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